「エネルギー・地層処分について考える市民の会」活動報告

 このページでは、2017年度の「市民の会」の活動内容を紹介していきます。

2017年7月18日・8月1日 六ケ所村視察の共有会


 六ケ所村の視察には、「市民の会」のメンバー10人のうち、7人が参加しました。参加できなかった3人に視察内容を共有するために、また、視察したメンバーのより深い理解を促すために、共有会を開催しました。
 共有会では、見学に参加したメンバーが、自分の撮った写真を見せながら、どんな感想を抱いたか、どのような点が気になったか、などを説明し、見学に参加できなかったメンバーは、それに対し積極的に質問を投げかけていました。当初は1回の予定でしたが、話が盛り上がり、急遽、2回に分けて実施することになりました。
 主な意見・感想を、以下に整理しました。

日本原燃見学に対する感想
  • 展望台からは立派な体育館が見えた。また、帰り道に「ろっかぽっか」に立ち寄ったが、こちらも立派な施設だった。道路もきれいに舗装されていた(読書愛好会との意見交換では、50年前は道路の多くが砂利道だったとのお話があった)。電源三法交付金等によって、地域のインフラが整えられている様子が感じられた。
  • 展望台から多くの風車が見えたことが印象に残っている。
  • 実物のウラン鉱石は、非常に印象に残った。
  • PRセンターには、とてもよい霧箱が設置されていた。普通は、こんなにはっきりと線が見えない。
  • 霧箱は初めて見た。非常に大きなインパクトがあった。1人でも多くの市民に見てほしいと思った。
  • 霧箱や放射線を測る機械は、セットで展示してくれると良い。身の回りに放射線が存在するということがよく分かる。ただし、今回の見学では、PRセンターをじっくり見学する時間がなかった点は残念だった。
  • 使用済み燃料がプールの中で貯蔵されている様子が分かる模型があった。普段見られない場所なので、各地の原発ではこのように保管されているのか、ということがよく分かり、良かった。
  • PRセンターには安全対策に関するパネルが設置されていたが、説明はなかった。私が聞きたいことと、PRセンターの方が説明したいこととのズレを感じた。
  • PRセンターには、ぶ厚いコンクリートの模型が設置されていた。その後、再処理工場の見学者ホールでは、実際にジェット機をコンクリート壁にぶつけた実験のビデオを見せてもらった。80センチの厚みがあれば、飛来物を十分に防げることが分かったが、日本原燃では1.5倍の余裕をもって120センチのコンクリート壁にしているという説明があった。
  • MOX燃料に関する展示があった。案内されていた方に、「MOX燃料はどこで使うのですか?」と尋ねたところ、「大間原発で使います」と断定的な回答があった。本当にそうなるのだろうか、と疑問に感じた。
日本原燃見学に対する質疑応答
 市民の会のメンバーからは、見学日当日は気づかなかったけど、今、改めて考えると疑問に思う点がある、ということで、多くの質問が出されました。技術的な質問が多く、コーディネーターの木村浩氏(NPO法人パブリック・アウトリーチ)よりご回答をいただきました。主なものを紹介します。

Q.日本原燃のウラン濃縮工場が稼働したのは1992年だそうだが、それ以前は、どこで燃料が作られていたのか?
A.海外で作られた燃料を買っていた。ウラン濃縮技術は、核兵器作成に容易に転用できることから、原則、核兵器保有国にしか許可されていない。日本は、世界で唯一、非核国ながらウラン濃縮が許可されている国である。

Q.医療で発生する低レベル放射性廃棄物も存在するという話があったが、それはどのようなもので、現在どのように扱われているのか?
A.レントゲンの線源のコバルト60や、がん治療に用いられる線源、がん細胞に吸着させて追跡するために用いられるトレーサーなどが、医療行為から生じる放射性廃棄物である。現在は、処分されてはおらず、東北にあるセンターで一括貯蔵されているはずである。

Q.日本ではガラス固化がうまくいっていないという話があったが、現在日本原燃に貯蔵されているガラス固化体はどのように作られたのか?
A.フランス・イギリスで作られたガラス固化体が返却されている。(一部、日本原燃の再処理工場試運転で作られたガラス固化体もある)

Q.ガラス固化体1本は、燃料集合体何本分(何KWh分)なのか?
A.100万kWの原子力発電所を1年間運転すると、使用済み燃料が30トン発生する。これをガラス固化体に換算すると30本になる。

Q.低レベル放射性廃棄物は、実際に埋設している現場を見たので、処分場の広さがイメージしやすい。一方、高レベル放射性廃棄物の処分場は、1か所で4万本という話だが、どの程度の量なのかイメージしにくい。
A.3.11以前は、商業利用開始から平成33年までに発生する高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)は、2万本であると想定されていた。(2011年以降、原子力発電の利用が減ったので、今はこの限りではない)

読書愛好会との意見交換に対する感想
【誘致前後について】
  • 意見交換会では、読書愛好会の方から、「50年前は貧しかった」「道路がなくて子供を高校に通わせることができなかった」「子供がイカ漁に駆り出されてまともに学校に行けなかった」「寒さが厳しかった」などの状況を詳しくお話しいただいた。こういう状況だったからこそ、日本原燃の誘致が進んだのだと思う。
  • 日本原燃は、誘致後、辛抱強く六ケ所村の住民の家を訪問し、説得にあたったのだというお話を聞いた。また、日本原燃の見学をした際に、今も定期的に全戸訪問を実施しているという説明があった。地元に対してそのくらい粘り強いコミュニケーションを続けていくことが大切なのだろうと感じた。
  • 日本原燃が誘致され、雇用も増え、子供を高校に通わせることができるようになった、というお話があったが、誘致前後の進学率のデータがあれば見てみたい。
  • 現地の方たちの話を聞くことの重要性を改めて感じた。
  • 六ケ所村の他の方々の意見も聞いてみたいと感じた。幅広な意見を聞いておくと、地層処分の議論の際にも役立つはずだ。
  • 「貧しさの再生産を防がなければならない」という言葉が印象に残っている。
  • 六ケ所村の施設(例えば、意見交換会の会場だったスワニー)は、車で移動した際に見えた周りの市町村の施設に比べ、格段に立派なものだった。
  • 読書愛好会の会員間でも温度差があることを感じた。「日本原燃の誘致に積極的に賛成した」とおっしゃる方もいれば、「石油備蓄基地や日本原燃の誘致は、自然な流れとして受け止めていた」とおっしゃる方もいた。
  • 「50年前の六ケ所村は、むつ市より30年は遅れている地域だと感じた」という発言が印象に残った。同じ青森県でも、それほど違うのかと驚いた。
  • 私は団塊の世代の生まれで、日本全体にものがなく貧しい時代を過ごしてきたので、昔の六ケ所村の「貧しさ」は共感できた。ただ、私は暖かい地方の生まれなので、「寒さが厳しかった」ことについてはイメージできなかった。
  • 現地の方々は、誘致の経緯やその地域の昔のことなどを全部知っている。施設が誘致されたから仕事ができて、そこで働いて生活している方たちも多くいるのだろう。また、再処理は国策で進められているという側面もある。これらの事情を知っていたら、現地の方が何も言えなくなってしまう、というのは確かにその通りだと思う。
【3.11後~将来について、地層処分について】
  • 「六ケ所村には、今、風力発電や太陽光発電が建てられているが、これは国から補助金が出ているからであって、補助金はいつかなくなる。個人的には風力や太陽光は一時の流行りだと思っている」というお話が気にかかった。脱原発を目指し、多様なエネルギーを利用したいと考えている人が聞いたら、感情的に受け取ってしまう言い方だと思う。
  • 原発立地地域の住民と、六ケ所村の住民とでは、感情(危機感など)が違うのだろうと感じた。日本原燃の方が、地域の方に理解してもらうために努力していることが感じられた。
  • 「30~50年経ったら、青森県外にガラス固化体を持ち出すこと」という約束が交わされているようだが、その実現は非常に難しいと感じる。ようやく科学的特性マップが公表された段階なのに、うまくいくのだろうか。六ケ所村の方も不安なのではないか。
  • 青森県との約束において、国がどのような役割・責任を果たすのかがはっきりしない。少なくとも国民一般は知らないと思う。
  • 原子力発電所はこれまで運転されてきたし、放射性廃棄物もすでに発生している。その処分はどこかで行わなければならない。そのためには、原子力技術は今後も高めていかなければならないだろう。
  • 読書愛好会の方は、「(ガラス固化体の)持ち出しを国が実施するのだから、国が測定するべき」とおっしゃっていた。しかし、実際にどこが主体となるのかはよく分からない。
  • 「国が責任を持って処分することになるのだから、国がガラス固化体を測定するべき。測定すれば正体不明のおばけではなくなる」というお話があったが、おばけでなくなったとしても、我々にとっては手の届かないものなので、他のものとは性質が違うだろう。だからこそ処分場所がなかなか決まらないのかもしれない。

▲自身が撮った写真を披露しながら、見学内容を説明しています


▲木村浩氏から解説をいただく場面もありました


7月2日 六ケ所視察の事前勉強会
7月10日 日本原燃株式会社の見学
7月11日 六ケ所村読書愛好会との意見交換会
7月18日・8月1日 六ケ所村視察の共有会
8月21日・22日 福島県次世代エネルギーパーク視察
11月3日 幌延視察の事前勉強会
11月16日 幌延町視察(町役場の方との意見交換)
11月16日 幌延深地層研究センター視察)
12月26日 最終意見交換会


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