「エネルギー・地層処分について考える市民の会」活動報告

 このページでは、2017年度の「市民の会」の活動内容を紹介していきます。

2017年11月16日 幌延町視察(町役場の方との意見交換)


 2017年11月16日午前中に、幌延町役場を訪ね、町役場の方からお話を伺いました。
 役場の担当者の方からは、幌延町に深地層研究センターが誘致された経緯や、研究センターができてからの町の様子、また、町の将来について、細かく丁寧にご説明いただきました。
 単に深地層研究センターを見学するだけでは得られない、「町の暮らしの様子」を垣間見ることができたと思います。この場をお借りして、改めて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

原子力関連施設誘致決定から白紙撤回まで
  • 幌延町は、昭和40年代に畑作から酪農への切り替えが進むも、条件も悪く、離農が進む。町の人口も減り、危機感を覚えた町政は、起爆剤として原子力関連施設誘致を決定。(当時は原発の誘致も考えていた)
  • 様々な企業の誘致も行ったが、遠隔地でもあり、うまく進まなかった。その結果、「人が嫌がるもの」の誘致に着目した。
  • 当時の町民は、比較的冷静に反応。当時の町長は、住民説明会を開き、放射線・放射能などに関して自ら説明していた(町長は、東京理科大出身)。科学技術庁の方をお招きして、説明してもらうときもあった。
  • 低レベル放射性廃棄物貯蔵施設の誘致の際は、周辺自治体も、大きな拒絶反応ではなかった。低レベルならば問題ないだろう、と考えていたという話も。
  • その後、貯蔵工学センター(高レベル)誘致に切り替えた際は、最終処分場に結びつくのではないかと反対する声も多かった。そのため、周辺自治体に対して説明に歩いた。商工会は、誘致に前向きだった。農家の方々は、誘致に反対だった。
  • 住民説明会には、商工会の女性会員なども参加していた。
  • 幌延町では、低レベル誘致の頃から、東海村への見学会を年に2~3回実施している。ほとんどの町民が見学会に参加したのではないか。
  • 低レベル放射性廃棄物貯蔵施設の誘致をしていた時点で、町としては、高レベルの誘致も視野に入れていた。しかし、低レベルの誘致がとん挫したために、高レベルの話が一気に前面に出るようになった。当時、新聞には「本命は高レベルだった」という見出しの記事が掲載された。
  • 幌延町長は、低レベルと高レベルに一貫して取り組みたいと考えていた。一方、新聞記事は、「だましていた」というトーンだった。そのため、周辺自治体は非常に驚いていた。

「核抜き」施設の誘致への変更、立地成功、建設まで
  • 北海道の強い要望で、「核抜き」へ方向転換することになったが、条例自体は幌延町のほうが先に制定。研究センター自体は「核抜き」だが、それ以外の枠組みで幌延町に核が持ち込まれるのではないか、という懸念があった。そのため、「幌延町に核は持ち込まない」という条例を決め、町民を安心させるとともに、周辺自治体へ説明して、町の立場をはっきりさせた。
  • 条例制定については、事前に町民に説明したわけではなく、トップの決断。町民からは、「原子力関連施設の誘致を諦めてしまうのか?」というご意見もあったが、それにこだわっていたら、そもそも立地できませんよ、と説得していった。
  • 研究センターの立地場所は、使っていない土地で、地質的に適している場所が選ばれた。

深地層研究センターの現状
  • 前回、前々回の町長選は対抗馬なしで投票がなかったが、それ以前は、ずっと、研究推進側の候補が得票率7割以上で当選し続けている。
  • 研究センターが来て、行政サービスは向上した。特に、若い世代の結婚・子育て支援が厚くなった。宿泊施設・飲食店への経済効果は非常に大きい。幌延町の財政は、借金45億円に対し、貯金が70億円ある。貯金が借金を上回っている町はあまりないと思う。電源三法交付金の活用によって浮いた一般財源を積み立ててきた成果である。
  • 誘致の時期でも、年8000万円ほどは交付金が下りていたが、財政的には、2000年以降(立地後)に改善が見られるようになった。
  • 【世代交代への対応】今も、子供や大人を対象に、見学会は続けている。見学先は、瑞浪、六ケ所村、東海村など。瑞浪や六ケ所は、交通アクセスが悪くなってしまったため、近年は東海村の見学が多くなっている。
  • 研究センターの職員は、単身赴任が多い。できれば家族で来ていただきたいが、個々の家庭の問題なので、そこまでは介入できない。ただし、幌延町に家族で来た方が、元の町に帰った際に、「コンパクトな町で、思ったよりも住みやすかった」と他の方に伝え、それで別の方が家族でやってくる、という事例もある。
  • 毎年2回、約800人がデモ行進をしに来るが、町民は無関心。町役場に来られた場合は、「これから日本のどこかに処分場を作ることになるのだから、深地層研究は必要であると考えている」と説明している。デモ行進は貯蔵工学センター誘致の時期からあったが、町民の方は冷静に対応されている。
  • 彼らは、北海道庁には話をしに行っているようだが、幌延町には来ない。幌延町に話をしても仕方がないと考えているのかもしれない。
  • デモ行進について、あたかも地元の意見が二分しているかのような報道がなされているが、町民は冷静に対応している。JAEAの説明会でも、数名の方が反対意見を述べるが、それ以外の90%以上の方は理解してくださっている。

深地層研究センターと幌延町の今後
  • 幌延町は、まち・ひと・しごと「人口ビジョン」と「総合戦略」を策定。 人口ビジョンは、2060年を視野に入れ、人口減少に歯止めをかけ、2000人規模の人口を保つことを目標としている。
  • 総合戦略は、人口ビジョン達成のための5か年計画(2015~2020年)であり、「まちにしごとをつくり安心して働けるようにする」「まちへ新しい人の流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「時代にあった地域をつくり安心な暮らしを守る」「地域と地域を連携する」という5つの柱から成り立っている。
  • 今後の研究については、デリケートな問題なので、「総合戦略」には大きく打ち出せない。ただし、幌延町とサイクル機構が結んだ協定は、最終処分場にしないための担保であって、研究そのものをやめてほしいわけではない。核抜きの研究施設であるし、経済効果も大きい。町民の大半は続けてほしいと考えているようだ。町民の話を聞くと、「継続してほしい」「今後のことをどう考えているのか」というご意見が多い。
  • 交付金は、いつ打ち切られるか分からない。交付金を元手に、その後を見据えた取り組みをしていくことが大切だと考えている。交付金は、現世代で半分使い、将来世代に半分残す(将来に向けた投資をする)、という考え方をしている。ただし、交付金は、幌延町の予算の数%であり、原子力発電所の立地自治体に比べれば規模は小さい。
  • 小泉政権の頃に、地方交付税の額が減った。交付金があるからといって箱物を建設してしまうと、維持費がかかる。ハードの建設は最小限に留めるように留意している。
  • 酪農は、多いときは120~130の農家があったが、今はその半分程度である。後継者がいないので、今後、さらに減っていくかもしれない。牛乳の生産量も年4万トンを切ってきた(昔はその倍程度あった)。総合戦略では、年生産量4万トンを目標にしている。そのために、農業法人を作り、研修センターを設立したいと考えている。幌延町内だけでなく、外部からも農業をしたい方が集まって学ぶ場所を作りたい。
  • 農家の方は電気をたくさん使うので、電源の多様化には理解がある。
  • オトンルイ風力発電所の電気は、現在は100%北海道電力に売却している。今後は、バイオマスエネルギーを活用し、酪農に貢献できるシステムを構築したいと考えている(家畜糞尿から熱・ガスを取り出す等)。また、過疎地域なので、送電網の整備についても推進したいと考えている。
  • 「総合戦略」は、センターがあってもなくてもできることを考えよう、というスタンスで作った。深地層研究センターを視察される方は多いが、それを見ただけで帰ってしまう方が多いのが実情である。
  • 宿泊施設は、町の規模に対しては、十分確保されている。しかし、工事に携わる方の利用を考えて施設を作ったので、町の宿泊施設は、常に8割ほど埋まっており、観光客はなかなか泊まれないのが現状。
  • 【ふるさと納税】基本はまちづくりの原資とさせていただいている。例えば、幌延町には宗谷本線の駅がいくつかあるが、それらを「秘境駅」として観光資源化しようとしている。また、地域の名産として合鴨を飼育しており、合鴨肉の鍋セットは返礼品の中でも人気が高い。


7月2日 六ケ所視察の事前勉強会
7月10日 日本原燃株式会社の見学
7月11日 六ケ所村読書愛好会との意見交換会
7月18日・8月1日 六ケ所村視察の共有会
8月21日・22日 福島県次世代エネルギーパーク視察
11月3日 幌延視察の事前勉強会
11月16日 幌延町視察(町役場の方との意見交換)
11月16日 幌延深地層研究センター視察)
12月26日 最終意見交換会


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